Medically(メディカリー)とは、メドケア株式会社が運営する生活習慣病などの慢性疾患に特化したオンライン診療サービスです。スマートフォンのアプリとウェアラブルセンサーを使って、遠隔診療、処方薬の配送、栄養指導、生活へのアドバイスなど、トータルでサポートしています。OVERKASTは、このMedicallyのサービスリニューアルにおいて、ブランディングのディレクションをおこないました。

Medically website designed by Shed, Inc.

Medically — New Standard of Health Care

このプロジェクトには、メドケア株式会社が運営するMedicallyのサービスリニューアルが決定したタイミングでお声がけいただきました。ブランディングのプロジェクトとして受注をし、途中チーミングの支援もしながら、コンセプトの設計からWebサイト構築をおこない、ステーショナリー類なども合わせて刷新しました。

アプリケーションという日用品ブランド

まずこのプロジェクトでおこなったのは、国内の医療が抱える問題や海外の医療サービスの動向についてのリサーチでした。高齢化が進む日本の社会において、持続可能性はどのように担保できるのか。医療機関と患者間での情報の非対称性を解消するのに、海外ではどのような取り組みがなされているのか。さまざまな観点からMedicallyというサービスが目指すべき姿を考え、プロジェクトメンバーで共有していきました。

次におこなったのは、メドケア株式会社が運営するブランドの整理です。企業とサービスで主体が揺れていたので、メドケアはあくまでヴィジョンを反映したコーポレートブランド、Medicallyはもっと利用者に寄り添ったサービスであり、毎日関わるアプリを提供するという日用品ブランドだと考えることにしました。

現象学的にブランドを考える

プロジェクトの進行中に気になったのが、Medicallyというブランド名が「副詞」ということでした。形容詞と違って副詞は動詞を修飾します。それがブランドとして、一時的なインパクトではなく、より長いタイムスパンで継続するものと解釈できるのではないかと考えました。そのような思考を重ねていった末に、Medicallyのコンセプトを現象学的な観点から見出すことになったのです。

“Medically”の“medi-”は中間、つまり〈あいだ〉を意味する接頭辞で、医学(medi-cine)やメディア(medi-a)といった文言にも使われているものです。またMedicallyというサービスにおけるアプリのユーザーインターフェースは、自分の健康状態を管理するための「鏡」であり、あるときは診療のための「窓」にもなる。つまり、Medicallyは人と健康の〈あいだ〉で、人の鏡になったり窓になったりするような存在だと考えてみることにしました。

「使うこと」が「あること」と同義になる

またMedicallyを使い続けることは、利用者が自分だけの共通認識(コモンセンス)をつくっていくことだと言えます。一人の利用者に対して共通認識という言葉を使うのはおかしいのですが、それでもこう呼びたかったのは、パーソナライズされた情報を自分に知らせることで、過去と現在の自分に共通した認識がつくられていくからです。

その共通認識を持つことで、利用者は主体的に健康を考えることができるようになる。この健康に対する主体性が獲得された状態こそが、健康であるということなのではないか。そう考えたのでした。

利用者が「健康であること」は、主体的な活動を行える状態にあることなのだから、「メディカリーを使う」という述語も、やがて「健康への意識を持つ」という意味を越え、「健康であること」と同義になっていく。これは今まで利用者が持っていなかった共通認識であり、利用者にとって「新しい普遍性(ニュースタンダード)」となる。こうして相反する言葉が同居した「ヘルスケアのニュースタンダード(New Standard of Health Care)」が、最終的なMedicallyのコンセプトになっていきました。

Scope of work

Concept Making
Copywriting
Creative Direction
Information Architecture
Content Editing

Client

MEDCARE, Inc.

Year

2018–2019

Team

Concept Making, Creative Direction, Information Architecture: Hiroshi Obayashi (OVERKAST, Inc.)
Art Direction, SI Design, Graphic Design: Tomoki Tachibana (Shed, Inc.)
Web Design: Aya Yashiro (Shed, Inc.)
Web Development: Yuya Honda (Shed, Inc.)

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